樹木葬は自宅でもできる? 代替策や樹木葬ができる場所を解説
樹木葬といえば、里山や霊園に設けられた墓地などで行うのが一般的です。しかし「墓石を建てる必要がないなら、自宅の庭でも樹木葬ができるのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、自宅でも樹木葬を行うことが可能なのかを解説するとともに、難しい場合の代替案や、樹木葬ができる場所についてまとめました。
目次
自宅で樹木葬を行うことは原則としてできない
自宅で樹木葬を行うことは、原則としてできません。
日本には「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」があり、同法第4条では、埋葬または焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならないと定められています(※)。ここでいう墓地とは、同法第2条第5号に規定された、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域を指します(※)。
個人の自宅敷地は、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域ではありません。そのため、自宅で樹木葬を行うと同法第4条違反となり、2万円以下の罰金または拘留、もしくは科料に処される可能性があります(※)。
自宅での散骨は可能? 考えられるリスク
自宅の庭への埋葬は違法と説明しましたが、散骨の場合はどうでしょうか。結論からいうと、自宅での散骨は可能な場合があります。
法務省は過去に、散骨について「葬法の一つの方法として、節度を持って行えば違法ではない」との見解を示しています(※)。また厚生労働省も、前述の墓埋法の制定当時には散骨が想定されておらず、同法は関知しないという認識を示しました(※)。
このような見解から、自宅での散骨は違法行為ではないと見なされますが、実際に行う際には以下のようなリスクが考えられます。
⚫︎近隣住民とのトラブル
⚫︎風評被害のトラブル
⚫︎条例違反の可能性
⚫︎死体損壊等に該当するリスク
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
近隣住民とのトラブル
まず懸念されるのが、近隣住民とのトラブルです。私有地に散骨した場合、遺骨が風で運ばれ、近隣の敷地内にまで飛ぶ可能性があります。
また遺骨が近隣まで飛ばなかったとしても、自宅の近くで散骨が行われたこと自体に不快感や抵抗感を抱く方もいるかもしれません。その結果、場合によっては近隣との関係性に亀裂が生じ、日常生活に支障を来す可能性もあります。
風評被害のトラブル
散骨した遺骨が、風によって自宅付近にある畑などに飛んでいった場合、農産物に対する風評被害につながる恐れがあります。場合によっては、損害賠償を請求される可能性もあるので注意しましょう。
条例違反の可能性
先述の通り、自宅での散骨は違法行為ではないと見なされる傾向にありますが、自治体によっては条例で散骨を禁止しているところもあります。
例えば北海道長沼町では、長沼町さわやか環境づくり条例第11条において、何人も墓地以外の場所で焼骨を散布してはならないと定めています(※)。
このように、お住まいの自治体によっては散骨そのものが条例違反になる可能性があるため、自宅での散骨を検討している場合は、事前に自治体へ確認しておくことが大切です。
死体損壊等に該当するリスク
繰り返しになりますが、厚生労働省は散骨について、違法には当たらないという見解を示しています。ただし、これはあくまで節度を持って散骨が行われた場合の話であり、そうでない場合は違法と見なされるリスクがあるため注意が必要です。
なお、ここでいう節度について明確には示されていませんが、遺骨であると分からない程度まで粉末化するなどのルールは守ることが求められます。
このようなルールに反して自宅で散骨を行った場合、刑法第190条の死体損壊等の罪に問われる可能性があり、3年以下の拘禁刑に処される恐れがあるので注意が必要です(※)。
樹木葬ができる主な場所
樹木葬は、主に墓地として運営許可を受けた霊園で行えます。霊園は大きく分けて、里山型と公園型の2種類に分類されます。
里山型は、既存の里山環境をできるだけ生かした霊園です。多くの場合、自然が豊かな山林に区画が設けられており、大きなシンボルツリーの根元に埋葬するケースや、個別に設けられたスペースに埋葬する形式が一般的です。骨つぼや骨袋は自然に還る素材が用いられる場合もあり、自然派志向の方から人気を集めています。
一方、公園型は人工的に自然環境を整備した霊園です。前述した里山型に比べると自然の豊かさはやや劣りますが、住宅地に近い場所に設けられることが多く、アクセスのしやすさが利点です。
なお、同じ里山型・公園型であっても、霊園ごとに埋葬方法や費用などに違いがあります。樹木葬を検討する際は、複数の霊園を比較しながら慎重に選ぶことが大切です。
【まとめ】
樹木葬は原則として自宅では行えないため注意が必要
日本では、墓地として許可を受けた土地にしか遺骨を埋葬できないため、自宅の庭で樹木葬を行うことは原則としてできません。万が一自宅で樹木葬を行った場合は、墓埋法違反と見なされ、罰金刑や拘禁刑、科料の対象になる可能性があるので注意が必要です。
また散骨であれば可能とされるケースもありますが、近隣トラブルや風評被害、条例違反などのリスクも少なからずあるため、慎重な判断が求められます。
樹木葬を検討する場合は、里山型や公園型など、適切な許可を受けた霊園で行うことをおすすめします。
